■初音ミクを使った音楽作品その3です。
■2008年8月24日に開催された「仙台初音ミク音楽祭(通称せんみく)」にて上映された作品です。SFです。
■同日に初音ミクが『第47回日本SF大会』にて「第39回星雲賞 自由部門」を受賞。何か運命的なものを感じます。ごめん、そうでもない。
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「 さよならアストロノーツ 」
作詞・作曲・編曲 小林オニキス
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いつも想い描いてた 遠いはずの未来は
あまりにも容易く すぐに追い越してしまった
ああ 何も変わらないまま 当たり前に日々を重ねている
いつの間にこんなに 流されてしまっていたんだろ
引き返したいくらいに 気が付けば大人になってた
ねぇ あの頃ひどく怖かった事が現実に押し寄せてくるよ
ありがちな未来に辿り着いた 昨日までを
誇らしいと言えるようにならなきゃ
空を抜け月へ向かう あの船を観た日は
何にでも成れるような気がしていた
何処までも 何処までも 何処までも 向こうへ
行けるような気がしてた
LaLaLa…
挫けそうな明日はまた来るから
願わくば あと少しだけ 穏やかであるように
想い抱いて 今はもう眠るよ
泡沫みたいな夢をみてた 嗚呼
■ニコニコ動画のユーザー層は10代の方が多いそうなので、大人の歌を作ってみました。そういう方達が今から10年経って社会を担うようになった時に、この曲とオレの事を思い出してもらおう!というね。これを「小林オニキス10ヵ年計画」と呼びます。
■あの頃のオレは「早くしないと大人になっちまう!」とか思ってたなぁ…。でも大人になるのも意外と悪くなかったですよ。
■「ああ」という感嘆詞が頻繁に出てくるのは、ため息を表現している為です。そういう試みなんだけど、作詞家の方からしてみればこういうのはきっと「上手くない歌詞」なんだろうなぁと思います。でもそんなん知ったこっちゃあない。
■使用しているイラスト素材はAdobeのイラストレーターで制作。いつも下絵とか全く無しで、ペンツールでいきなり描き始めます。んで、ちょっとずつバランス見ながら修正。タブレットじゃなくてマウスで作業してます。
■星空や宇宙の絵は全部フォトショップで描いてます。難しかった。
■今回、自分でケータイ使って撮ってきた実写ムービーも素材として使ってみたのだけれど、イラスト描く手間に比べてなんてムービーは楽なんだ!!!とか思ったり。で、それをアフターエフェクトで加工しまくってイラスト素材と合わせて動画にしてます。
冒頭の宇宙空間のカットは、元は水族館で撮ったアシカの水槽だったりとか。
■ちなみにせんみくで、bakerさんの使ってる携帯と同じもんを使っていた事が発覚した。
■基本的に素材は全部自分の手で作るようにしてるのですが、今回ひとつだけアフターエフェクトに付いてたフリーの素材を使いました。だいぶ加工したけど。
■途中で出てくる顔のある月は、ジョルジュ・メリエスが撮った無声映画「月世界旅行」からの引用です。原作はジュール・ヴェルヌ。
この映画は1902年に発表された人類史上初のSF映画です。ちなみにメリエスは一番最初の職業映画監督でもあったりします。
■実は「月世界旅行」を引用した先達としては、スマッシング・パンプキンズが1996年に発表した「tonight,tonight」のミュージック・クリップがあります。手掛けたのは夫婦映像ディレクターであるデイトン&ファリス。
「tonight,tonight」は小林がとても大好きな楽曲の1つであり、PVの存在も当然知っていたので、引用すべきか否か一瞬考えたのですが、幼少期に夢見るような未来や宇宙に対する憧れ、それに伴う人間の想像力のようなものを表現するモチーフとして、人類が初めて作った空想の産物である「月世界旅行」が最適だと思ったので採用しました。
なお「月世界旅行」は1世紀以上前の作品である為に著作権の保護期限が切れており、パブリック・ドメインとなっています。
http://www.archive.org/details/Levoyagedanslalune
■最初に考えた映像のアイデアは「模型を作ってそれをイラストと実写に混ぜよう!」というものでした。で、実際に給水タンクの模型を作ってみたのですが、こりゃ時間がかかり過ぎていつまで経っても完成しそうにないなー、と判断して断念することに。ちなみにDTMマガジンに掲載されてる小林のインタビュー記事の写真に小さく写ってます。
■給水タンクってなんとなく宇宙船を連想するよね。
■個人的にはサイハテ宇宙派の人に捧げたいと思います。やっと公開できたよ!!